特別対談 vol.1
官と民が化学反応できるエリアは無限、
まさに宝の山のようなもの
大きな理想から生まれる
ドキドキとワクワクを
鷲見:事業には大きな理想、つまりビジョン・ミッション・バリューが必要だと思います。
その事業の価値が大変崇高なものだと、いろんな賛同者を得られると感じています。
しっかりした理想が具体的な価値として見えてくれば、さまざまな発展も可能だと思いますし、例えば官民連携があれば民民連携もあったり、また、官官の連携、なおかつコンソーシアムの連携にも発展していくと思います。
やはりひとつの企業と、ひとつの自治体だけでやっても、社会インパクトの高い事業なんてできないです。
例えば子育て環境の向上というテーマで、一対一でやったところで、大きな機会を得るに至りません。やはり多くの企業と多くの自治体が連携した形で、みんなで一緒に取り組んでいくからこそ、大きな改善ができると考えます。
そういう意味では、大きな理想を掲げて、行動し、考えて戦略を練って、歩み、アクションする。そして結果を出してその結果がまた次に繋がっていくっていうという、そんなサイクルをどんどん大きくしていかないといけないんじゃないでしょうか。
大きな理想や、ワクワクドキドキ、さらにはファンタスティックなイメージがあるからこそ、みんなで一緒にやろうぜって、なるんじゃないでしょうか。
結果、それが大きな輪になっていって、そのサイクルがより強固なものに変わっていく。
だからこそ、初めの第一歩っていうのは、着実にクリアすることが大切ですね。
やはり結果を出すっていうのが大切だと思います。
東:いま四條畷市は人口5万5,000人ですけど、一昔前と大きく違うのは、以前は今ほど市民を細かくカテゴライズしていなかったんです。ひとつの大きなカテゴリーに入れて、そこに対して特定の政策をするということでカバーしていたんですね。
だけど、今は様々な状況によって細かいカテゴリーが増えてまして、それら個々に対応しなくてはいけない。実はこういう状況に行政は非常に弱いんですよ。
なにが弱いかっていうと、大きな対象に対して一律的な政策を打つのは、公平性の観点からも実施しやすいのですが、対象が細分化されたときに特定の層だけに何かをするというのが行政としては難しい。
実はそこに、官民連携を推し進める強力な意味があるんじゃないかと思っています。
この分野はこの企業さんと組んでとか、そういう取捨選択が多数あることにより官民連携があらゆる市民に対しての政策を充実させることになるんじゃないかと。
官民連携の意義はそこにあるんじゃないでしょうか。
だからこそ、おっしゃっていただいた「なぜやるのか」という大義がすごく大事です。
鷲見:我々のホームページを見た企業が四條畷市と組みたいと思ってもらえれば嬉しいです。市長が官民連携とはなんぞやというところに対して、近いところでしっかり頑張ってるっていうところを見て欲しいですね。
東:官民連携というのは数ある手段の一つの呼び方でしかないと思っています。
あくまで手法ですし、先ほど少し触れましたけど、目的が大事なんですね。
「なぜするのか。何のためにそれをするのか」
官民連携について考える場合、極論を言えば、それが住民にとって利便性になるのかどうかが大事。
まずそれがあって、結果として、それぞれの専門の企業が関われる入り口があれば、そこから横に広がっていく。
それがまさに前例ができたということであって、問題解決の突破口になるということだと思います。
そして、その結果として住民の利便性に繋がる。
まだまだそういう未開拓の分野はいっぱいあると思います。
担当者同士が交流し合って、刺激を受け合うような、活発な人の交流を進めていくことも大切ですね。
そういう交流が進んで、同じ目的意識を持つ人が官にも民にも増えることで、より意義深い官民連携ができるようになりますし、こういう視点を持ってこれからも進めていきたいと思います。
「宝の山」官民連携から
広がる大きな輪
鷲見:今、市長がおっしゃったように、企業と自治体が、一緒に取り組みをすること。それが、より大きい理想である社会課題解決や地域発展に繋がっているってことはあるんですけど、実はそれ以外の副産物もたくさんありまして、例えば、関わった企業と行政の人単位、または企業誘致も含めての交流がその事業以外にも広がり、本当に良質な関係人口としてその町との関わりがはじまっている例もあります。
それは一緒に何かをやったからこそ、実現できている話なんだあと思います。
やはり人と人との交流、会社の組織と組織の交流の可能性を生み出すっていうのも一つの官民連携の醍醐味です。
東:冒頭で、官民連携が広がりつつあるとかは言いましたけど、無数にある民間企業の中では、まだ取り組まれているところはほんの一部なんですよね。
これは、宝の山ですよ。
官と民が化学反応できるエリアは無数にあります。それが当たり前になって、結果として国民の福祉が向上するというのを、もっと実現できるはずだと思います。
鷲見:そうですね。今の話で言うと、ただの官民連携じゃなくて、官・民・民連携とか、さらに複合的な取り組みもすごく大事だと思ってます。先ほどもいいました、いわゆるコンソーシアムでの連携です。それぞれの分野でしっかり役割分担して、お互いの最大限のパワーを出し合う環境作りです。
思い続け、
描き続けることが大切
東:余談になりますが、実はわたしは、オーシャンズ11という映画が好きなんです。
この映画は、それぞれの専門性をもった人物が活躍しますが、タイトルのとおり、オーシャンという人物が特に重要です。
オーシャンがリーダーとしていることで、それぞれの人物だけでは決して到達できない事業を達成できる。
このオーシャンのように、個性を活かす能力が重要です。
官民連携事業研究所は、まさにこのオーシャンになっていただきたいですよね。
先ほど出てきた、子育てに強い会社とか、何かが得意な自治体など、それらを束にして活かし、大きな事業を起こすようなそういう存在になっていただきたい。
それが実現すると、日本中がきっと良くなると思います。
鷲見:ありがとうございます。
われわれが異なる資質、異なる商品サービスを持っている企業を自治体につなげていく理由はそこにあります。
例えば女性活躍ってキーワードを持っている会社、子育ての会社、また雇用に強い会社、それらが合わさって、大きなものに立ち向かえるっていう状況にしていくのが我々が目指すところです。
やってよかったと思えるような事業を、みなさんに味わってもらいたいですね。
東:やはり理想は言い続けていかないとだめですね。
はるか遠い、叶わないであろう未来でも、言葉にするかどうかは別にして、思い続け、描き続けるというのが大事ですね。
何かをやりたい、何かを実現したいとき、それが自治体だけだったり、民間だけではやはりできないことが絶対に出てきます。
そのときに、できないから諦めようじゃなくて、異なる強みを持った組織と組めばできるんだと思えたときに、本当の官民連携はスタートすると思うんですよね。
もっとこういうことしたいとか、こんなのできたらいいなっていう企業は、絶対何かの「種」を持っていらっしゃると思うので、それを活かしたいという思いで官民連携の扉をノックしてもらいたいですね。
自治体もしかり。
やってみようと思ってできるかもしれないんですけど、やはり続かない。
うちの自治体で何かやってみたいなと思ったときに、既に例えば再現性のある官民連携事業があるんだったら、例えばそこからやってみる。そういう思想の順番で踏み出すとうまくいくんじゃないかなと思います。
それとわたしが企業に対して改善してほしいなあと思うのが、CSRの延長で官民連携事業を見るところが多いということ。無償奉仕活動の一環で自治体に貢献をするという発想で、それはそれで大変ありがたいですが、官民連携としてはあまり良い発想とは思っていません。
やはり商品化とか、持続可能な未来みたいなものを目指すのが大切です。
共に何かを生み出そうと作り出そうっていう視点でいてほしいです。
鷲見:気持ちを一緒に携えながらというか、手を取りあって、心を通わせながら一緒に汗水流してプロジェクトをする。
それが社会課題解決に向けて、大義のもとにやっていくっていうのは、日本人にとってすごく大事な話なんだなっていうのは、私は官民連携というものをやるにあたっての可能性をより高めていく原動力になるんじゃないかなと思いますね。
今回の我々からのメッセージは、「みんなでもっと官民連携やりましょうよ」ということなんです。
だからこそ、そんな官民連携を普及したいし、我々のような会社も、よりパワーを溢れさせて、さらにはアクセルを踏んで、やっていくのがいいですね。
私たちと出会わなければ、自治体と取り組みが実現しなかったというような企業を掘り起こして、社会に対して意欲的になっていただきたいと思います。スペシャリストの会社のデータやノウハウを自治体に提供するだけでエビデンスデータになりますし。
もっと社会に対して意欲的になってもらって、より貢献いただけるようにするっていうのも、官民連携の醍醐味だと思います。
これを我々がやらずして誰がやるんだって話です。
市長、本日はありがとうございました。
東:ありがとうございました。